プロブロガー、イケダハヤト氏へのインタビューの続きです。

前編はこちら→「五年後にはメディア投資家やってます」イケダハヤト氏インタビュー(前編)

大手メディアには投資を頑張ってほしい

大熊 大手メディアも変わろうとしていて挑戦していますが、どう思いますか。人材移動が起きるかどうか、僕は注目しているんですが。
 
イケダ 僕は大手の新聞記者に独立を願ったりはしません。ただいずれ否が応にも押し出される人は出てくるはずで、それなら先行者優位があるうちにさっさと独立した方がいいとは思いますよ。
そうでないなら、年収1000万あるんだったら、じゃあ100万円分は投資してくれ。投資側に回って新しいメディアを生まれやすくしてくれ、と願っています。

大熊 「朝日新聞メディアラボ」なんかはその取組みにやや近いかもしれませんね。投資も行っていますし。僕はまだ業界人でもないのでわからないんですが、新旧メディア人材の交流はないんですか?

イケダ 経営陣レベルでは絶望的にないですね。記者レベルでも少なくて、来ていても社ではなく個人として来ます。だからブレイクスルーがあるかというとわからないですね。
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(flickr参照)

常にメディアの行く末を見通して、適切にリスク分散する

大熊 少し質問が変わります。イケハヤさんは独立して自由にやっていこうぜというスタンスだとは思いますが、検索エンジンやソーシャルといったプラットフォームには依存せざるを得ないですよね。Facebookはたびたび仕様を変えますし、今度Googleが検索の仕組みを変えるとも言っています。

イケダ  プラットフォームには依存せざるを得ないし、リスク分散は必要です。僕はブログでうまくいかなくなったら例えばイベントビジネスをやって稼ごう、といったような備えはやっていますし、そうなったらしょうがねえっていう諦めの気持ちも持っています。どんなメディアでも、ビジネスでもそうですよ。「現代ビジネス」とかもたとえば今はバナー広告一本でやってますが、記事広告をやることも考えられるし、講談社のホールを使って稼げるイベントだってきっと出来るじゃないですか。リスク分散しつつ、新しいことやりつづける必要があります。

大熊 プラットフォームとれなくてもいい、とれない中で頑張り方があるんだ、というのなら沢山の人に希望がありますね。

イケダ  そうそう、プラットフォームには中々なれないし、なれなくてもいいですよ。個人で十分色々できます。津田大介さんなんかは、有料メルマガという盤石な収益源の元でたくさん挑戦していますよね。

編集力を身につけるには

大熊 そうしたスター級の人たちは、自身が高いクオリティのコンテンツと化していて、そこまでいったらいくらでもやっていけるんだと思います。でも、スターじゃない個人が大半ですよね。そういう人はどうやって生き残っていくんでしょう。

イケダ そういう意味では「編集」の力が大事ですね。編集者が出来ることって掛け算なんですよ。
自分自身はすごくなくても、ユニークな組み合わせによってすごいものが見せられます。

大熊 「編集」ということには僕もすごく興味があるし、やっていきたいとも思っているんですけど、その本質がなんなのか、正直つかみかねているところがあります。

イケダ 編集っていうのは、世の中の解像度をあげることです。例えば僕たちは今スタバで話していますが、この照明のスタバのデザインってちょっと特殊だよね、と目をつけて、それついて独特の切り口でまとめるとか。そういったトレーニングをよくしているかと、後は1つの分野について物凄く深く調べているかで、編集力は変わってくるんじゃないでしょうか。
で、自分で書く・取材するだけじゃなく、誰かに面白いテーマで書かせたり、対談させたり、はたまたそれを組み合わせたりイベントしたりして、それで「これが私のジャーナリズムです」という形にして世に問うのは大いにアリだと思いますよ。
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(flickr参照)

新しいものについていけなくなったら終わり

大熊 最後に、イケハヤさんが今注目している新しいやり方ってなんですか?

イケダ 今はバーチャルリアリティがやばいですよ。Facebookが買収したOculusの勉強しています。


これをつけて振り向くと映像がついてくるしめちゃくちゃ没入するんです。ホラー映画とかほんとに怖くて途中でみるのをやめましたし。こういうのに出会うと、ブログとかやってる場合じゃねえってなりますよ。
例えば国語の教科書をバーチャルリアリティにしたら面白くないですか?「羅生門」で老婆が毛を抜いているのが生々しく見えるとか、すごいって思いません?
これからのジャーナリズムはOculusだー!と言われる日はいつか来るでしょう。その時第一人者になれるように今から勉強してるんですよ。1日2時間ぐらいやってればディレクションぐらいは出来るようになるので、教科書でやって話題よぶのもいいし、観光地の映像を追体験!とかも面白いですね。色々思いつきます。5年後には、来てると思いますね。こういう流れにはずっと行きたいですし、ついていけなくなったら終わりかなと思います。

(了)


実際に会ったイケダハヤトさんは、将来像についてさまざまな仮説を打ち立てて実践している人でした。
そしてとにかく話すのが好きで、面白く物語ってくれているのが伝わってきました。その人柄が、多くの人にたたかれながらも愛される所以なのかと感じました。
インタビューにも快く応じ、取材留学という僕の挑戦も応援してくださったイケダハヤトさんに感謝です。