ブログを始めてちょうど1か月がたちました。
始める前は「こういう企画で誰か応じてくださるんだろうか」と不安でしたが、思った以上に反響が得られて自分でも驚いています。
これまでのところ、佐々木俊尚さん(ジャーナリスト)を皮切りに、瀧本哲史さん(投資家)・津田大介さん(ジャーナリスト)・梅田優祐さん(経営者)の4人にインタビューすることが出来、相談という形で堀潤(ジャーナリスト)さんと朝日新聞メディアラボのメンバーの方々のお話も伺えました。
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(4月15日、津田大介さんとの撮影)

まだまだ未熟ながらも、ここ1ヶ月を振り返る意味もこめて、「会いたい人に取材してブログに書く」というプロセスがいかに効率のいい学習方法かを説明していきます。

1.下調べに真剣になれる。

これまでお会いしてきた方々はみな各方面で活躍されていて、当然ながらものすごくご多忙でした。
そんな中でわざわざ時間をとって会ってもらう、しかも報酬などもお支払いできるわけではないので、せめていい質問をしなければ、相手に何か真新しいことを与えねば、というプレッシャーが働きます。

しかしこれは簡単ではありません。著名な方はインタビュー経験も豊富で、きちんと下調べしないと確実にネタがかぶります。
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そこで過去のインタビュー記事はなるべく読むようにし、著書にも全て目を通すようにしました。資料も漠然と読むのではなく「どういう切り口で書かれているのか」とか、よく使われるフレーズを認識していって「この人はここに拘りを持っているんだな」などとあたりをつける癖がつきました。

2. 生で1対1で話せるので、濃密な発見がある。

本や講義といった形式をとると、1人ないしは少数が多数に向けて発信するものとなります。そうするとどうしても内容は最大公約数的になりますが、それと比較して1対1で話す密度は段違いです。更には、公表されてないここだけの話も、聞けることがあります。

「東大新入生は新しいゲームを勝ち抜け」瀧本哲史さんインタビュー

の中で瀧本さんが

教授がどれだけ早口でしゃべったところで、自分でノートを読んだほうが圧倒的に速い
と仰っているように、ぼんやりと話を聞くだけなら読むのと比べてよっぽど効率が悪いです。ここで重要なのは、
自分の中で仮説を持っておくことでしょう。下調べに基づいて、「たぶん相手はこう答える」というイメージ像を作っておきます。

例えば僕の関心は「ネットメディアはビジネスとしてうまくいくのか、ジャーナリズムとの兼ね合いは可能なのか」です。取材対象が経済ニュースアプリ「NewsPicks」を出している株式会社UZABASEの梅田さんの時には、「梅田さんはビジネスとして上手くいくと考えてやっているはずだから、上手くいかないケースを挙げてみて、どう答えるかの反応を覗おう」などと考えます。

こうして仮説に基づいて相手に尋ねると、意外性の高い返答に出会うことがあります。それを見逃さず掘り下げていくまた新たな発見が……というようなサイクルが生まれます。この瞬間を味わうことこそ「話す」「聞く」ことの醍醐味ではないでしょうか。

3.音声情報と文字情報からのフィードバックが得られる

1と2については取材活動を始める前からそういう利点があるのではと思っていたことですが、この3についてはやってみて初めて気がつきました。
お話を伺ったあと、記事を書くために録音テープを聴きます。
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(flickr/ippinkan corp)

これをやってると、自分の相槌の打ち方のまずさとか、話の流れをきってしまうところとかが露骨に分かります。
なんでそんなに「なるほどなるほど」ばっかり言ってるんだ自分!というようなつっこみもよく入れます。
やっててめちゃくちゃ恥ずかしいです。恥ずかしいですけど、「ここで話の方向性を間違えたんだ」「ここでは黙っておくべきだった」などがありありと分かります。

何か特殊な活動をされている方以外は、自分の話し言葉を聞いて振り返る経験をつむことなんてまずないはずです。話し方を改善したい場合にはとってもおススメなやり方だということがわかりました。

音声での復習の後は、いよいよこれを文章にします。まとめる際には文章力とか構成を気にするので、もう一度話した内容について振り返れます。振り返りながら、自分なりの表現を探っていくことにもなります。

今のご時勢、仕入れた情報はどんどん流れていってしまい、僕もぼんやり読んで理解した気になったニュースとかは覚えていないことも多いです。

一方、みっちり下準備して仮設を立てる→生で話きく→音声情報から復習→文字情報でアウトプットをするという多方面からのアプローチで得られた情報はしっかり定着するストックになります。
何より、ここまでやると非常に楽しいです。

4.思いがけない出会いがある。

以上の過程を経て作った記事をブログに公開すると、ネットの世界に野ざらしにされます。どれだけウケたか、誰に読まれたかということがリアルな数字に表れてくるので、そのまま次に活きます。

そして、ブログで公開してみると意外な出会いが早くも沢山ありました。

投資家の五月さんが興味を持ってお話を聞きにきてくださったり、、新聞社の人に読んでいるよと言っていただいたりもしました。次の学習の機会も広がってくるのです。

これらはやる前からは予想もつかなかった、とってもありがたい成果です。


まとめると、高いモチベーションで準備できて、多方面から濃密な情報が得られる、という点で、今までやってきたどの勉強法よりも効率が良いです。


こうした「取材学習」とでも言うべきスタイルは、他のことにも応用できそうです。学問の興味ある分野について、その分野を研究している先生たちに取材するとか。趣味を突き詰めたくなったから、その分野で優れた人に会いに行って発表するだとか。


勿論、今回挙げたような利点を僕自身も完璧に活かせているとは言いがたく、準備不足を痛感したり、まずい作法をとってしまったと反省する日々ですが……。


これからも、会ってくださる方々に感謝しつつ、より実り多い取材学習となるよう進歩していきたいです。