メディア・クエスター

メディア・コンテンツ業界に関する発信(海外やビジネスモデルへの言及が多い) 連絡はqumaruin(あっと)gmail.comまで。

2014年05月


徳島新聞出身で現在は法政大学でメディア社会学を教えている藤代准教授がMITメディアラボ×朝日新聞シンポジウムに関する記事を書き、700以上の「いいね!」を集めて反響を呼んでいます。

要約すると、①既存メディアにおける待遇(給与・地位)がウェブよりも良い (供給がない) 
ことと、②ウェブで必要なスキルを既存メディアの人材が持っていない (需要されない)
ことから、大手マスコミからの人材移動は起きない、という意見です。

全国紙出身で今は独立されている新田哲史さんも新聞社から脱藩起業は出てくるのか で同様の2つのボトルネックを取り上げていますが、新田さんは「時代が変わってきた」とも述べ、「VCがメディアのスタートアップに投資する流れが出来るかどうか」にかかっているとします。

実際に新聞社から独立された経験を持つ2人ならではの、実感の伴った率直な意見でしょう。

一方、シンポジウムに先立って公開された「記者独立の時代、5年で来る」佐々木紀彦編集長に聞く という記事を書いた朝日新聞社の古田記者は、
と、独立の流れが来ることに(社ではなく、個人の意見として)肯定的です。
これは新田さんの言葉を借りれば、果たして「若い記者たちが自分自身に言い聞かせているような複雑な心情」にすぎないのでしょうか。

以下、これまで自分が調べて、取材して得た考えから、人材移動についての仮説を書いていきます。

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今日はプロブロガーとして第一線で活躍しているイケダハヤトさん(@ihayato)にお会いしてきました。


インタビュー内容はまた後ほど記事にしてアップしますが、すぐに実践できるアドバイスとして、
「ブログ名からコンテンツの内容が分かりにくいし、SEO的にもよくない」というお言葉をいただいて納得したので、ブログ名を変えました。「くまりんのビッグベア・ウォッチ」という名前を気に入ってくださっていた方々には申し訳ありません。

questには"(まだ明らかになっていない真実や宝物を)探し求める"という意味があり、「メディア・クエスター」はこのブログの方向性を表す言葉で、ひいては今のところ僕が取り組み・目指していることそのものです。
 
重々自覚していることですが、僕はまだ何も大したメディアを立ち上げたわけでも、コンテンツを作ったわけでもありません。

イケハヤさんからも「期待しているよ!」という激励をいただいたのをはじめとして、インタビュー相手であるジャーナリストやメディア経営者の方々から応援の声をかけてもらい、「やはり、米国現地メディアを調査する需要はあるんだ」という確信は深めていますが、実際に渡米するのもまだ先の話です。 
一方で僕がベンチマークの一つにしている「メディアの輪郭」 という海外メディア紹介媒体を作っている佐藤慶一さん(1990年生まれ)は、実際に途上国情報発信メディア「トジョウエンジン」を立ち上げた経験を持ち、現在は現代ビジネスで編集者としてバリバリ現場に出ています。
それを見ておきながら何故僕は今ブログ以外にメディアを作ろうとしていないのか?

ここで、僕が「アメリカ新興メディアへの取材留学」というものをやろうと思った理由を、今一度説明させてください。

僕は昔から根っからの活字大好きっ子でした。小学2年で「ズッコケ3人組」シリーズを読んだのがきっかけでそれから大学生になるまでずっと年間数百冊ペースで読んできましたし、中学生の頃までは自分で小説も書いていました。


総計でノート十数冊分+原稿用紙数千枚分にはなります。小学校の係で「生き物係」とかに加えて「新聞係」「文芸係」とかをねじ込み、新聞もどきを立ち上げたりもしました。
ネットで読んだり書いたりするのも大好きで、中学生にしてネトウヨを拗らせて2ちゃんねるでの議論に没頭したこともありました。 

ですが、大学3年生になって就活に向けたサマーインターンを考える際、メディア系の企業は意図的に除外しました。なぜなら、「メディア業界はオワコンだ」といたるところで目にしたし、聞かされていたからです。出版不況、記者の不要化、下降の一途をたどる市場規模、云々。メディア好きだからこそ、その未来のなさを知って敬遠していました。だから、「テクノロジーが世の中を変える流れを追いたい」という気持ちは、コンサルタントとかバンカー、或いはITベンチャーでの実行者として果たしていくしかないのかなあ、とぼんやりと考え、(周囲の東大生にも流され)、そういった企業に応募して、落ちたりたまに受かったりしていました。

大転換のきっかけは、ある企業のインターン課題で、書籍ビジネスについて調べているときに出会った「五年後、メディアは稼げるか」(東洋経済新報社)という本でした。
 




この本はオワコン化していくメディア業界を生々しく描写しつつ、実は最先端のIT企業が最も古びたメディア企業を変えているまさに最中で、非常にエキサイティングだ、と語っていました。そして時代の潮流を乗りこなし、新しいマネタイズ方法を考えたメディア人は、引く手あまたになる、と。

それがこの上なく面白いと思ったのです。まさしく「テクノロジーが世の中を変えていく流れ」で、対象は僕が好きなメディアというものそのものです。それに、まだ誰も見つけていない答えを見つけられれば自分自身はオワコンにならずスターになれるというところにロマンも感じました。

だから僕は、まずは今最先端を走るメディア関係者に取材して、メディアの未来のヒントを探ろうと考えました。そしたらやっているうちに、この目的に対して僕と同じ手法をとっている人が案外少なく、やりようによっては需要が高い、という自信を得ました。"メディア関係者への取材"というコンテンツ自体でまだしばらくはやれることだらけだし、学びたいことだらけです。
これが行き詰まり、実際にメディアを動かしてみないとこれ以上分からない、というところまで来たら「メディア・メイカー」にもなるつもりです。アイディアはいくつかあるので、取材で得た知見をフルに活かして、チームを結成してメディアを立ち上げたくなると思います。

それまで、しばらくの間は動き回り話を聞きに行き続ける形でメディアの未来をクエストしていく所存です。


新旧メディア関係者が勢ぞろい

抽選に当たったので、表題のシンポジウムに行ってきました。
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(朝日新聞社HPより、USTREAMの中継画像をキャプチャー)

『メディアが未来を変えるには~伝わる技術、伝える力~』 というテーマで、

MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏に加え、NYTimesのアマンダ・コックス氏、ハフポのニコ・ピットニー氏 がプレゼンし、朝日新聞社取締役の西村陽一氏がモデレーターを務めるパネルディスカッションが開かれました。
Twitterのハッシュタグ「#未来メディア」を使ってリアルタイムで投稿される質問は津田大介さんが集約し、登壇者側へ適宜投げかけていました。

このテーマと登壇者の面子だけあって、参加者側はウェブメディア関係者が揃い踏みといった感じ。

スマートニュース執行役員の藤村さん、ヤフトピ編集リーダーの伊藤さん、現代ビジネス編集長の瀬尾さんが質疑応答で登場し、ハフポ日本版編集長の松浦さん、弁護士ドットコム編集長の亀松さんも見かけました。他にも大勢のウェブ・紙の記者と編集者が集ったことでしょう。 

上記のTogetterが当日の議論の流れを綺麗にまとめているので、この記事では気になった部分についてのみ書いていきます。

NYで最先端を走る3人へ投げかけられた主要な質問は、やはり「人材」「ビジネスモデル」に集中しました。

「人材」について - 担い手はいるのか

デー タ分析を可視化し伝える”データジャーナリズム”の手法が流行りつつあります。しかし、統計学を専攻していてビジュアル化の技術もあるのにジャーナリストを志したアマンダ・コックスのような人は伝説上の生き物「ユニコーン」のようなもので、数学の才がある人が儲かるウォールストリートに流れてしまうという話を伊藤穣一さんがしました。
アマンダ
(朝日新聞社HPより、USTREAMの中継画像をキャプチャー)

アメリカにおける、大手メディアから新興への移籍の話もありました。身軽な新興テクノロジー企業が大手メディアのスター記者をどんどん引き抜いており、伊藤 穣一さん曰くこれはまさに「ゴールドラッシュ」。優秀な学生はシリコンバレーに殺到して、そこからイノベーションが起きるのではないかという話でした。シ リコンバレーと対極に位置するニューヨークのメディア企業は、巻き込まれていくばかりなのでしょうか。
対するNYTimesのアマンダは、「大手のパブリッシャーが担えないはずはない、様々な実験ができる」と力強く述べました。

「ビジネスモデル」について - ネットでどうやって稼ぐか

ハフポのニコ・ピットナーは、これまでハフポがいかに読者をパーソナライズしてきたのかを説明し、単なるPV数だけでは測れない「エンゲージメント」について語りました。広告収入に依存するハフポならではです。
ニコ
(朝日新聞社HPより、USTREAMの中継画像をキャプチャー)

ウェブではあらゆる数値が可視化されるため、ライター・編集者がマーケターに近い役割も担わざるを得なくなります。そうした時に、ジャーナリズムとビジネスの境界線が曖昧になることも伊藤さんは指摘していました。
あらゆる事が数値化できることが、先に初回した"データ・ジャーナリズム"に取り組めることにも繋がります。しかしこれはビジネスとして考えると割にあうのか。資金の豊富な大手がやるべきか、身軽な新興ができるのか、も論点になりました。

「唯一の正解」は、まだない。

そうしたアメリカの現状を踏まえて、さて日本ではどうなるのでしょう?

質問をなさった現代ビジネスの瀬尾編集長は、「ネットで調査報道をやりたい」と語りましたが、まだ実現に至っていません。日本最強のウェブニュー ス媒体・ヤフートピックスの伊藤さんも、コンテンツ作りは子会社がやり、自社で調査報道をしていくプランはないとおっしゃっていました。
やはりネックは、オンラインで必要な人材を集めることと、ビジネスモデルの確立でしょう。

では、どうすればいいのか?誰にもわかりません。

生意気な意見かもしれませんが、NYでメディアの大変革を体感している登壇者と、日本で最高峰のネットメディア運営者たち、そして朝日新聞社の敏腕記者が集っても、「メディアの未来」に、一つの明確な答えを出すことはできないのではないか、と思いました。

これに近いことは、僕が一番最初にインタビューした佐々木俊尚さんもおっしゃっていました。

佐々木俊尚氏に聞く「メディア業界のイノベーション」
コンテンツの質が高いことと儲かることは一致しなくなっていて、それをどうするか、の答えは正直なところ誰もまだわからない。
ネットメディアで稼げるモデルが出てくるのはこれからだ。1995年にインターネットが普及して、Facebookができるまでに10年かかった。
ネット黎明期の人たちは必ずしもFacebook的なものの登場を予測していたわけではない。それと同様に今想像もされてないメディアのビジネスモデルが出てくるのではないか。

「仮説」はあっても「答え」は誰も持っていないから、とにかく現場で試行錯誤を繰り返すしかない。実際に行動を起こして、失敗も繰り返して未来を作っていかない限りは分からないものだろう。
そう思ってとある挑戦的な質問をハッシュタグで投げかけたところ、シンポジウムを締めくくるものとして採用されました。
Twitter
(撮影:荒川拓さん)
これに対する西村取締役の回答は、「明日にでも記者が独立するとは思わないが、こうした会を通して若い記者がネットへの理解を深める、知的なインフラを厚くすることは非常に重要で、これからもやっていきたい」 至言だと思います。

と いうのも、繰り返しになりますが、あの場にはウェブメディアの精鋭たちと、一線級の記者たち、それにジャーナリストを志す学生がたくさん集まっていまし た。僕の隣にたまたま座っていたのが、データビジュアライゼーションの分野で日本の権威的な存在である渡邉英徳准教授(@hwtnv)だったりもしました し、

「記者独立の時代、五年で来る」佐々木紀彦編集長に聞く

この記事を書いた古田大輔記者は、会場でTwitter実況をなさっていました。

あの場を通じて知り合った関係がきっかけとなって新旧のメディアでコラボが生まれたり、ひょっとすると引き抜きの話が持ち上がったりするかもしれません。

日本のメディア業界に、そういった変化の仕方がありえるのではないでしょうか。

UZABASEという会社をインタビューしてから考え続けていることがあります。

UZABASE社長・梅田優祐氏"ニュースアプリも企画力勝負の時代へ"

この会社が出しているニュースアプリ"NewsPicks"のコアバリューは、大学教授や一流ビジネスマン、その他ユーザーに評価された書き手といったオーソリティーがニュースを見つけ、それを解説することでニュースの発見と理解が同時に満たされる点にあります。
このサービス、ありそうでなかった仕組みです。ニュース以外でもこれを出来ないか?と考えています。
例えばこれを書籍でやってはどうでしょう?

まず、"理解"の側について。
書評を書くブロガーや、アフィリエイトを稼ぐために本を紹介するブロガーはごまんといます。大学教授やビジネスマンも、「この分野についてはこれを読むべき」「この時期にはこれを読んでおくべき」という意見を持っています。でもそれらはバラバラに分散していて、うまく見つけられない場合があったり、アフィリエイト収入を目的とする以上宣伝目的が強くなってノイズが多かったりします。一方、Amazonのレビューは一度は目を通しますが、基本的に匿名で、決定的な信頼感には欠けます。「他の要因で購入を決め、Amazonレビューは一応チェックする」が主な使い方ではないでしょうか。

書籍紹介サービスもすでに色々あります。
ブクログ - ウェブ上に本棚をつくるサービス
読書メーター - 読んだ本・読みたい本を管理し、他人の書評も読めるサービス
ブックビネガー - ビジネス書を分かりやすく推薦してくれるサービス

或いは、テーマごとの単なる紹介ならばNAVERまとめも役立ちます。

プログラマーが読むべき本まとめ

でもどれも、"信頼のおける人からの発見と理解"を満たしてはないのでは、と思います。
このご時世に、わざわざ数千円を払って本を買うには、心もとない。
実際、これらの書評やまとめサービスよりも友人の生のおすすめによって買うという習慣がまだあります。

そこで、ある本について、信頼のおける人が様々なコメントを寄せ、時には議論する、といった形で本の紹介が出来れば、読み手の購入の意思決定にもっと役立つのではないでしょうか。
これによって、良書が著名人によって発掘・紹介されてユーザーに届くという流れが生まれるのが理想です。

書籍の"発見"で現在圧倒的な力を持っているのはやはりAmazonです。
けれども「閉じこもるインターネット」でも指摘されているように、大量のデータを集めるAmazonによるレコメンドでパーソナライズが進めば進むほど、"セレンディピティ(偶然の出会い)"はどんどん失われています。



しかし、そもそも読書体験とは、思いがけない良書との出会いや本を通じた読者同士の出会いというものに相当の価値を認めていたのではないでしょうか?

集団読書のススメ
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(スタジオジブリ「耳をすませば」)

データに基づいてなんでも的確すぎるおすすめをしてくるフィルターバブルの、その無機質さへの違和感を覚える人は潜在的にたくさんいるはずだと思います。それは即ち、解消するニーズがあるということです。
ここで、Amazonに「勝つ」必要はありません。大量のデータを集めて、うまくフィルタリングしてくれるという主流のニーズはAmazonが担ってくれればよくて、それで拾いきれない需要が形にできれば、補完しあえます。


「ウェブとはすなわち現実世界の未来図である」にもあったとおり、ファストフードに対してのスローフードのように、速すぎるウェブに対しての"スローウェブ"が出てきつつあるそうです。ファストフードもスローフードが棲み分け・共存をしているように、スローウェブも定着していくでしょう。
過度のパーソナライズに対する、人間らしさも同じような揺り戻しとして起きるのではないでしょうか。
無味乾燥なAmazonのレコメンドとレビューから得られないものは、知人や先生・著名人のレコメンドで満たす。それをうまく集約すれば価値のあるものができると思います。

そうした「揺り戻し」の需要を正確に見抜き、サービスの形にできる人は素晴らしい起業家です。

これからのネットメディアはどうやったら成功し、稼ぐことが可能になるのか。そこに必要な人材とは。若くして自分で会社を立ち上げ、様々な「トライ&エラーを日本で一番繰り返してきた」と語る津田大介氏に、その秘訣をお伺いしました。


出版社に全部落ちて、仕事求めて150社にハガキを出した

大熊 僕はいま21歳なんですけど、津田さんも同じぐらいの時分からライターをやってましたよね。その頃からネットの活用とかって頭にあったんですか?

津田 当時はまだここまで自分の仕事とインターネットが結びつくとは思ってなかったですね。199495年頃のパソコンはとにかく使いにくかったし、インターネットにつなぐのにも一苦労でした。

高校のころから僕はとにかく物書きになりたかったんですけど、いきなりフリーで活躍できるわけもないので、まずは経験を積もうと思って出版社を受けました。筆記試験はほとんど受かったんですが面接で全部落とされちゃったんです(笑)。どうしようかなって思って本屋に行ってみると、当時はパソコンやインターネット関連の雑誌がとにかく信じられないぐらいあったんですね。とりあえず自分で仕事を作らなきゃいけないと思って、当時アルバイトで働いていたライターさんの名前で売り込みのハガキを出しまくったらいくつか反応があってそこでおこぼれの仕事をやることで雑誌ライターデビューを果たしました。それが1997年のことですね。 

コンテンツの黄金時代をかえたiモードとプレステ2

大熊 出版業界の市場規模のグラフを見たことあるんですが、本当にちょうその頃ピーク迎えてその後ひたすら下がっていますね。

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(「電子書籍情報まとめノート」より)

津田 書籍に限らず、音楽・CD・パッケージのゲームとあらゆるコンテンツが90年代後半に売り上げがピークだったんです。ピークアウトした1999年にNTTドコモがiモードを始めてそれがコンテンツ・メディア業界の大きな転換点になったんですね。1999年は僕も小さな会社を立ち上げて起業した年で自分にとっても大きな転換点の年になりました。 

会ってもらうために色々なことが試せる

大熊 ちょうど僕が小学校に入った年ですね(笑)

津田  それは時代を感じるなあ(笑)いま大熊さんが取り組んでいることと僕が当時やったことで似ているなと思ったのは、ほかの人がやらないようなところに目をつけて、とにかくやってみるっていう絨毯爆撃手法なんだと思います。これはいくらネットが普及しても変わらないし、いつの時代でも有効なやり方ですね。


大熊 そうですね、僕がやってる「いろんなジャーナリストに取材する」という企画も、当初構想を練ったはいいけどぶっちゃけ「これ、誰かから本当に返事来るのか?」って思っていました。でもやってみると案外反響があってびっくりという感じで。


津田 依頼の文面がきちっとしていると、それだけで会ってみようと思う大人は多いと思いますよ。あとはメールでレスポンスがなければ、目当ての人が出演するイベントに行って、終わってから駆け寄って名前と大学名とやっていること書いた手書きの名刺を出してみるとか。やっぱり、リアルであった人の依頼って断りにくいですし()

あとは、「ランチ中の30分でいいんでお話聞かせていただけませんか?」とお願いするのもいいんじゃないかな。どんなに忙しくてもメシ食べる時間はあるわけでそれをおすそわけしてもらうみたいに。そんな感じで色々試して断られても何度も何度も繰り返せば、いつかその人が罪の意識にさいなまれて会ってくれるかもしれないでしょ(笑)

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(flickr/T M) 

仕事で得た関係性を次につなげていく

大熊 大変参考になります。津田さんも、ライターの仕事を獲得された後もそういった営業の連続だったんですか?

津田  いや、僕が個人の物書きとして人生で唯一やった営業は最初のハガキだけですね。一回やると関係性ができて次も君に頼むよ、という流れで仕事が決まっていきました。まず大事なのは仕事をすることで、大熊さんもアメリカ東海岸でインターンすることが決まっているわけだから、そこでこんな仕事やっていましたということが次の仕事につながるキャリアになるんじゃないかと。


大熊 なるほど。お話を伺っていて、津田さんの目のつけどころもよかったのかなと思います。


津田 その頃は業界全体が猫の手も借りたいという状態だったからたまたまうまくいったんでしょうね。売れてる業界は人が足りない。そういう当たり前の話ですよ。その意味でウェブメディア業界は今後そういう状況になっていくんじゃないかと思いますね。ただ、無料が前提のオンラインメディアをマネタイズするのはどこも苦労している。だから、「メディアをどうマネタイズするのか?」ということのプロになれば引く手あまたの存在になれると思いますよ。 

日本で一番トライ&エラーを繰り返してきた

大熊 そういった意味合いではやはり津田さんの立ち位置は絶妙ですね。

津田 いや、難しいし、成功する確率も低いから誰もやらないという話ですよ。オンラインメディアはプラットフォームビジネスじゃない分急成長が期待できないので、あまりファンド入れて成長してという仕組みが成り立ちにくいですし。資金的な意味で独立してやっている人は本当に少ないですね。寂しい話ですけどね。僕が創業に関わった「ナタリー」という媒体があって、これは音楽・コミック・お笑いなどのエンタメ系をニュースを記者が独自取材して配信するというコンセプトのサイトなんですが、エンタメジャンルにおいて独立系で大きくなった唯一のメディアだと思います。

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(ポップカルチャーのニュースサイト「ナタリー」公式ページより) 
 

じゃあ僕はどうやってメディアを作ろうとしているのかというと、自分の現在の収入源の1つはラジオやテレビの出演料。もう1つが月額制のメルマガ。これらで稼いだ資金を使って、お金にならないネットメディアをどんどん作っていきたい。そういう無駄なトライ&エラーを日本で一番繰り返してきた人間なんじゃないかとは思っていますね。単にそれは自分が不器用であることの言い訳でもあるんですが(笑)。最近手がけた仕事でいうと「ポリタス」の都知事選特集があるんですが、あれはシステム開発費やデータ調査費、アルバイトの作業比で700万円くらいかかりました。突っ込んで、月間のPV120PV、ユニークユーザーが50万人くらい。一応Google Adsenseは貼っていたんですがその広告収入はわずか7万円でした(笑)。その赤字を体感することでとりあえず次はもう少しやり方考えようと学習するんです。


大熊  有料メルマガを大きな収入源にできている人は、ホリエモンさんとか佐々木俊尚さんみたいに日本では数えるほどしかいないですよね。しかも津田さんが始められたのは後発でした。それでなぜ成功したんでしょうか?


津田  確かに始めたのは2011年後半だから有料メルマガブームの中で最後発になりますね。

なるべく多くの人が購読しやすくなるように、3つの方向性から「入口」を考えたんです。1つ目はいわゆる"津田ファン"のような人。それが千人ぐらいは登録してくれるだろうと。2つ目は「ポリタス」で既存の新聞や政治メディアがやんないことをしますって宣言して、それにはお金が要りますと作りたいメディアの方向性を示すことでクラウドファンディングのように登録してくれる人たちのことを考えました。3つ目は、もともと僕が好きだった雑誌のように単にメルマガで面白い記事を作って話題になれば、記事そのものを楽しんでくれる人も出てくるだろうと。その3つを掛け合わせて「メディアの現場」を作りました。

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(「津田大介公式サイト」より)

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