メディア・クエスター

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 こんにちは、大熊(くまりん)です。僕の「アメリカ新興メディア突撃取材」の日が迫ってきたので、改めて僕がリサーチをするアメリカのメディア業界の流れについて、いくつかの数字を追いながら解説してみたいと思います。

①紙メディアの衰退

大事な大事な画像
(出典:WAN-IFRA 2013)

どの先進国でも紙の出版・新聞は斜陽ですが、北米の衰退は世界で一番激しいです。なんと5年間で広告収入は30%弱も落ち込みました。

②人材面―質・量ともにウェブに移動

1)紙の大物メディアマンが移籍

(出典:Pew Research Center)

 そんな状況を受けて、一昨年(2013年)から昨年(2014年)初頭にかけてだけでも、伝統的な大手メディアから新興メディアに移籍した大物はこんなにいます。
 今年に入ってもさっそく、「New York Times」のAmy O'lrearyが 「Upworthy」に移籍というニュースが流れました。
 しかも、1人1人が何十万人もTwitterのフォロワーを集めるようなスター選手です。例えばWashington Postから移籍したEzra Klein氏のフォロワー数は72万人以上。
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日本でいえば田原総一郎さんのフォロワーが約57万人ということからも、その規模が測り知れます。


2)ウェブメディアが採用拡大
 使える図
(出典:pew research centerのインタビューによるhttp://www.journalism.org/2014/03/26/the-growth-in-digital-reporting/)

フルタイムで働く編集員が100人を超すメディアも珍しくなくなってきました。世界中に展開する名門経済紙「The Economist」でも記者・編集者の合計はたった75人。人員の規模では上回るウェブメディアが多数出てきています。 

③資金面―さまざまなウェブメディアにお金が集まる

(出典:Privcoなどから、筆者調べ Buzzfeedは複数回調達) 
 
 その背景には、米国のベンチャー投資家の機敏な反応があります。FacebookやTwitterにも投資したことで知られるAndressen Holowitzから2014年に5000万ドルの投資を受けたBuzzfeedは、時価総額8億5000万ドルを見こまれ、今も急拡大中です。100万$以上の投資を受けたメディアだけでもこれほどあります。



 しかし、これほど盛り上がりを見せるアメリカ新興メディア業界ですが、その市場規模は紙の衰退を補うには程遠いままです。今日ここで挙げたようなプレイヤーたちは何を考え、イノベーションを興していくのか。
 それを調べるために、来月末にいよいよ現地に乗り込んでいきます。

 前編では、書き起しサービス「Logmi(ログミー)が立ち上がった経緯と、著作権問題への姿勢についてお伝えしました。後編ではその現状とこれからの可能性を探ります


経済メディアなのは結果論

ーー現在のログミーは、ビジネス系の記事がとても多く、経済メディアの「NewsPicks」などでもよくランキング入りしています。経済系はPVが稼げるからといった理由ですか?

 

 著作権関連がクリアに近く面白い動画を書き起していったら、結果的にビジネス系が多かったというだけで、もともとビジネスメディアにしたかったわけではありません。

    IT起業家向けのイベントであるIVSと公式パートナーになったことで、ビジネス系のコンテンツがよりいっそう増えることとなりました。読みたいもの・読みたくないものがはっきりしているハイリテラシーなユーザーさんが多く集まることとなったので、今のログミーはこのままの方向性で育てます。

    その上で、例えばスタバで行われるガールズトークをひたすら書き起こす「ガールズLogmi 」とか、横展開で別なものも作っていきたいです。

割りにあわない「記者会見書き起し」もやるワケ

 ただ、今のログミーでも経済系以外で意図的に注力している対象に、記者会見の書き起こしがあります。

 本来、発言の内容を全文書き起こせば誤解は生じようがないはず。でもメディアは自分たちの伝えたいように切り取って編集することがあります。そうした危険から、発言者を守りたい。

 全文ログを作れば、通信社よりリアルな生の情報に、一般人でもリーチできるようになります。私はこれまで編集の仕事もやってきましたが、ある意味、ログミーでは一回編集というものを否定してみよう、という考え方から出発しています。

 

 それに記者会見の場には大勢の記者が押し寄せますが、全員が同じ場所にいて同じようなことを聞き、同じような質問をするのは資源の無駄だという問題意識があります。「どうせログミーが書き起こすから、そこは任せて別の人に詳しいことを聞こう」といったように記者がより人間にしかできない創造的な作業に集中できるようになればいいと思っています。

 そういったことをいわばログミーの「裏テーマ」として掲げているので、PVは多くとれませんが、記事の2割程度は記者会見の書き起しです。

ログの「解析」という役割

ーーログミーはメディアでありながら、メディアの役割である「編集」を一度否定してみるというのはとても面白いです。

 

 「ログ」の可能性って、メディアだけじゃないんですよ。僕が元々いろんなメディアの立ち上げ人だったから、Yahoo!ニュースと提携したり、見出しやタイトルをつけて「記事」にしたりとメディアっぽくなっているというだけです。余計な小見出しもつけない単なる議事録のようなものでもアリなんですが、現在のネットの仕組みではメディアにしたほうがより多くの人に届くからしているというだけに過ぎません。

 

ーーそれでは、ほかのあり方とは。

 

ログミーには3つの役割があると思っています。

 

ログを作る。

ログを拡散する。
 
ログを解析する。 

 このの部分にも力を入れていきたいんです。長いログのどの部分がシェアされているのかを解析すれば、バズる言葉の法則も分かるでしょうし、そのログの要点もすぐわかるようになります。

そうすると、例えば記者会見の書き起こしからどこが引用されやすいか 何百個も解析してマーケティングデータをとっていくうちに、「ウケる選挙演説の作り方」なんてものが作れるかもしれません。

そしてそのログを論文として引用したりニュースで引用したりと自由に使えるようにしたいです。

次の展開は「CGM

ーー最初に取材を申し込ませていただいた昨年7月頃に、リニューアルに向けて準備中とおっしゃっていました。それは解析を増やしたり、経済以外の分野でのログミーを作っていくということでしょうか?

 

 いえ、それとはまた別です。利用規約をちゃんと定め、今のログミーをよりクリーンな方向へもっていきたいというのが1つです。

 もう1つ新しいのは、誰でも書き起こしを投稿できるCGMを作ろうと思っています。

 昨年のソチ五輪のとき、森元首相が浅田真央ちゃんをdis って炎上 という出来事がありました。あれって実は福岡市の講演会での発言なんですが、あれも全文を読むとまた違った印象を受けます。そういったものを書き起したいんですが、編集部で全部集めるのは不可能です。それで、地方の協力者を募りたいというわけです。

 ほかにも例えば沖縄の基地問題については、正直、地元の新聞が正確に伝えていないケースも多くあるかと思います。本当は誰が何を言ったのか正確に伝える「本当の議事録」を人力で作れないか、試してみたいのです。

 

ーーCGMにすると、違法な書き起こしがアップされるなどの問題も起こりそうですが、対策はありますか?

 

 どういうCGMになるかは、そのメディアに醸成される「雰囲気」次第だと考えています。芸能人の発言をまとめるぐちゃぐちゃなサイトになるか、先ほどの政治の問題や、大学の講義を書き起こすような公益性の高いものになるかは、雰囲気作り次第です。それこそがプロデューサーの仕事だと考えています。

 

インタビューの全体を通して語られたのは、とにかく「ログ」の可能性を広げたいという強い思いでした。名うてのメディア・プロデューサー川原崎編集長のもとでログミーが今後どんな成長を遂げるのか、楽しみです。

 

 ネット上の動画やリアルの講演会記者会見などを書き起こすことを目的としたサービス「Logmi (ログミー)

 昨年日本中を笑わせた「野々村議員の号泣記者会見 」も書き起こして1万以上のいいね!を集めたのをはじめとして、様々な動画が文字の記事として発行されている。日増しにその存在感を大きくしており、立ち上げ正式開始から8ヶ月を待たずに月間ユーザーは200万人に達した。

 しかし、動画を文字にすることで聴覚障害者も楽しめるようになったり、要点だけを素早く読む・SNSでシェアしやすくなるといったユーザーの利点がある一方で、書き起こしサービスには「著作権侵害をしていないか?」との疑念がすぐに向けられる。

 そんなログミーの編集長であり代表取締役も務めるのは、株式会社サイゾーで「日刊サイゾー」をはじめとして10以上ものウェブメディアを立ち上げ、独立後も多くのメディアプロデュース経験を持つメディア・プロデューサーの川原崎晋裕氏。サイゾーを独立した彼はなんのためにログミーを作り、 これからどうしていくつもりなのか? 

 これまでメディアからの取材を断ってきた彼だが、「仲間や協力者を作るために、我々がやっていることを伝える必要が出てきた」と語り、今回のインタビューに応じてくれた。前後編にわたって、 川原崎編集長のビジョンを追う。
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最初はけんすう氏と相談して立ち上げた

――「ログミー」を立ち上げようと思ったきっかけをまずは教えてください。
 

 僕は新卒でエン・ジャパンというところに入って営業を3年間やって、その後サイゾーで6年間働きました。そろそろ独立しようかな、転職しようかなと迷っていたので、旧知の仲である「nanapi」創業者のけんすう君に相談にいったんです。
 

――けんすうさんのような起業家に相談したら、絶対起業しろって言うに決まってるじゃないですか(笑)
 

 ええ、「やれ」って言われて、起業すること自体は5分で決まりました(笑)で、どの分野でやろうかと考えた時に、2013年当時で伸びてきそうだったクラウドソーシング(作業を外注する仕組み)を使って書き起こしサービスをやれば面白いだろうと思い、Logmiを始めました。

 最初の頃に書き起したのは、2ちゃんねるの元管理人のひろゆきと、(アメリカ版2ちゃんねるとも言える)「4ch 」創始者のムート氏の対談 です。英語と日本語が混ざった対談だったので、英語部分の翻訳もしました。この動画は実はけんすう君からリクエストがあったもので、当時の彼は英語がわからない、でも内容が知りたいということで、やってあげたというわけです(笑)

 その後会社からも独立しましたが、最初は、社員はゼロで、記事公開のペースも2週間に1本程度でした。それまで様々なウェブメディアを立ち上げてきた経験から、メディア・コンサルタントの仕事を頼まれることが多く、そちらを中心的にやっていたんです。ちょうど「これからはオウンドメディア(企業が自製するメディア)の時代だ」という風潮があり、メディアの立ち上げをできる人の需要が高かったのです。

 そうして1年近く経ち、 人気も出てきたのでコンサルの仕事を減らし、スタッフも1人雇って月100本ほど記事を出すようになりました。それが2014年4月のことです。ログミーは今のところ全く儲かっていないサービスですが、それでもなんとか運営できているのはコンサルでの収入があるからです。

著作権の許可はほとんどとっている

――書き起しサイト全般に対して著作権侵害を指摘する声もあります。Logmiに対してもごく初期から、やまもといちろうさんが鋭く指摘 していました。どこまでがオッケーで、どこからがダメなんでしょう?そして、どういった対応をしていますか?
 

 大前提として、ほとんどのコンテンツで著作権者から書き起こしの許可を得ていますが、発言者や主催者の利益を損ねるものはやらないというのが基本的な方針です。書き起しといえば簡単に誰でもできてPVがとれるのはテレビやラジオのコンテンツを扱ったものですが、これはただのおいしいとこどりだし、タレントや番組制作者といった、コンテンツで食っている人たちの権利をモロに侵害しています。ログミーでも昔、試しに1本やったらものすごく怒られました。それ以来、きちんと許可をとるようになり、結果として、最近はテレビ局との公式コンテンツも配信できるようになりました。

 私自身も元々、コンテンツを作る側の人間なので、よくIT企業がやっているような著作権無視メディアのようなことはやりたくありません。(パクりで儲けられたくないという)コンテンツホルダー側の気持ちがわかっているつもりです。

 話し手に許可をとり、必要であれば事前に原稿を見せて直しをしてもらうこともあります。イベントという場で喋ったことを全部書かれては困るという人も当然いますが、その場合は本来言いたかったことに修正してもらいます。発言者の揚げ足をとって世の中に広めたいというのが目的ではないので、「その人にとってプラスになるならやろう」というスタンスをとっています。原稿の直しは発言者に手間どらせることもあるので、そこは今後の編集体制の強化で補っていくつもりです。

ログミーに求められる「編集技術」

――現在のスタッフは川原崎さんを除き2人だけとのことでしたが、どういった方を採用されたんでしょうか。
 

 素人を採用し、編集者として育てています。実はログミーの記事に求められる「編集」ってけっこうハードルが高いんです。イベントでの対談や講演会などを多く取り扱っていますが、こういったものってある意味雑談に近くなるじゃないですか。普通の記事とくらべて、要点がわかりづらいというか。それを書き起こしただけではごちゃごちゃしていてとても「記事」とは言えません。そこに意味付けし、タイトルをつけていく高い編集能力が必要とされます。でもそういった能力を持っている優秀な編集者はたいてい企画提案や取材からやりたがります。それはログミーではできないということで(オリジナル取材もやっているがメインではない)、解決策として私が編集者を育てることにしたのです。

人から感謝されるメディアは見たことがない

――儲からないと仰っていましたが、独立して、儲かるメディア・コンサルの仕事まで減らして社員も自分で育てていらっしゃいます。そのモチベーションは何でしょうか。
 

 このサービスを公開したときに、「短い時間で読めていい」とか「行けなかったイベントの内容がわかって助かってる」といったような反応を受けました。これまで色んなメディアに携わってきましたが、人から感謝されるメディアって、見たことがなかったんですよね。

 動画を文字にすることで耳の聞こえない方も楽しめるようになるし、検索や拡散、アーカイブ化も可能になります。そうして面白いものをより広く伝えていきたいのです。

 

 それでは、ログミーの現状と、これからの可能性はどういったものなのか。後編に続きます。

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